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テキトウ人間の責任の取り方

 この老人は人生の最終コースを目の前にしているわけであるが、最近は人生における責任の取り方ということを考えるわけである。哲学的に考えれば、この老人がこの世の中に存在していること自体が無責任この上ないことであるゆえに、責任を取るとなればこの世からわが身を抹殺するしかないか?三島由紀夫(われながら古い名前を持ち出して恐縮しておる次第なのでありますが、他に思い浮かばないのでお許しください)のようにバサッとひと思いにいってしまうというのも一つの手ではありましょうが、想像してみるだに痛そうではあり、どばっと大量の血が流れておるのを、そのような状態であってもまだしばらくは生きておるだろうから、その大量の血を見ながら意識がなくなっていくのを待っているなどどいうことがどうしてこの老人にできましようか。それは絶対に無理だ。高いところから飛び降りるのはどうだ。下を見ただけでも目がくらんで飛ぶまでに気絶してしまいそうだ。電車は止めただけでも多額な損害賠償を鉄道会社から請求されるらしいから赤貧生活を送っている老人には無理だ。薬を大量に飲むのはどうだ。理科系統にはまったく弱い軟弱な頭しか持ち合わせておらない老人にはどのような薬をどれだけ飲めばいいのかがさっぱりわからない。失敗すると苦しい思いだけでまたぞろ生き返ってくるかと思うとそれもちょっと。ではその方面では定番の首をくくるのはどうだ。ひと一倍、二倍不器用な老人にうまく体を支えるだけのロープがしばれるのか。何回もやり直していると面倒くさくなり、これも無理。この作戦はこの老人向きではない。諦めるしかないな。ということで生き恥をさらしながら生きているのであるわけだが。

 ところで人間というものは「この人がこんな行為をしてしまうのか?」あるいは「こんな仕事をしている人がこんなことする?」ということがじばしばおこるわけなのだが、どうしてなのかな。学校の先生が教え子のスカートの中を盗撮したり、警官が飲酒運転をする、弁護士が他人のお金をだまし取る、精神科医やカウンセラーがクライエントと肉体関係を結ぶ等々挙げ出したらきりがない。小生が数十年前に勤めていた銀行の支店長が飲みに行くと言って小生たちを引き連れ、車に乗せ近所の得意先で一杯ひっかけてから県庁所在地の市まで行く間に、一度飲酒で捕まりそのせいでやけになってしまって猛スピードで飛ばしていると、今度はスピード違反で捕まり、そのあげく酒臭いということで警察署まで連れていかれアルコール検査の結果その日二度目の飲酒運転とあいなったのでありました。本来ならば一度目の検挙の時点で部下の誰かが運転を代わらなければならないのだが、やけのやんぱちの本人は自分で運転するというし、小生たちも飲んでおるし、いやみな支店長がでそこまでいうのなら無理して代わらなくても、ということでその日都合三回交通違反で捕まったのでした。実態を知らない人からは「銀行の支店長とあろうものがそんな行為をして恥ずかしくないのですか?」などとおしかりを受けるところであろうが、実態を知り尽くしている(だって毎日いじわるをされ、仕事は夜中の一二時は当たり前、気にいらない人間は転勤させられるわけですから)小生たちにはちょっとしたお灸の気分ではあっても、このような行為をすること自体はなんら不思議ではないことなのでした。その伝でいきますれば、学校の先生が生徒のスカートを盗み見したり、更衣室をのぞき見したりするのはもちろん学校の先生という職業柄そのような行為に及ぶわけではありません。そのようなことがやりたいから学校の先生になったということでもないでしょう。この職業に就く前には教育ということに関しましては崇高な理想をお持ちになっておられたでしょう。小中学校では優等生でもあらせられたでしょう。学級委員だって一度や二度は。それがちょっとした出来心でつい。ことが検事長ともなれば学校の先生の比ではありません。世界中の人間社会を見回してもアメリカでも、中国でも、コートジボアールでも、その辺の洟垂れ小僧が将来検事になろうと志してその職に就ける人が何人いるでしょうか?ましてや検事長です。どんな頭をしているのか切り開いてみてみたい気になりますよね。小生の学生時代にも麻雀が好きで二年三年と留年した学生は山ほどいました。もちろん賭けマージャンです。そのようなバカ学生を横目に見ながら元検事長(すでに前とか元をつけなければ正確ではないのですから)殿は最難関の司法試験にまっしぐらの学生時代をお過ごしになられたことでしょう。それがどうでしょう、ご自分で私を検事総長にしていただけるならなんでもいたしますとお願いしたわけでもありますまい。ご自分に白羽の矢が当たったばかりにとんだ貧乏くじを引いてしまったのかもしれませんね。もしかしたらご自分は何々部長くらいで勇退した後弁護士に転身し、そこで賭けマージャンでもカジノでも心ゆくまで楽しむ老後の生活を夢見られておられたかもしれません。もちろん生活方面の心配は全くないですから、気楽なものですわ。それにしてもえらいさんは政治家っていうんですか?気楽なものですね。ごっこ遊びをしているようでなんだか楽しそうですよね、いつ見ても、だれを見ても。もちろんそれでもいいですが、なんせ国民の代表ですから。たしか清濁併せ持つ人間が政治家だなどといいましたっけ、汚いことが勲章ですもの。中には面の厚さを競ったりして。そんな人たちの下働きをして人生棒に振った人たちの顔が浮かんできますね。財務省の何とかさんとか、すべて破棄いたしました、などとね。吹けば飛ぶような行政書士をやっております小生ですら、二年前の書類はすべて捨てましたとやったらお客さんに総スカンを食らい、役所から、行政書士会から大目玉をくらうでしょう。こんなどうでもいい書類ですらですよ。もし小生なら、えらいさんとも何らかの秘密は共有しているわけですから(直接の秘密ではないにしろ)それを週刊文春にもって行けば大儲けはできなくても一年くらい食える程度はかせげそうだから、間違いなくそうしているところですがね。そうしない理由が分かりません。それが小生のようなどうしようもない人間の責任の取り方ですわ。だれか小生を抜擢してくれるえらいさんはいませんかね?